咲人だって私だって

望んでこうなったんじゃない

でも・・・知って欲しくなかった・・・!





信じるもの、その先に-36-





私が気を失ってる間に何があったかわからない。

目を覚ましたときはの家でジロちゃんがいて。


「ジロちゃん。」


本当は知ってるんでしょう?咲人のこと。

そう言おうかと思った。

ジロちゃんが外にいたのは知ってる。

だって心配そうな顔をしてたもの。

だから・・・咲人のこと聞いてたのでしょう?


「何?」

「・・・ごめん。何もないわ。」


言えなかった。

ジロちゃんが私を心配していることもわかっていたから。

私のためにしてくれるんだから、その気持ちを踏みにじっちゃダメ。


、落ち着いて聞いてくれ。」

「ん・・・?」

「あたしはを支えたい、護りたい。」


を見つめる。

何が・・・言いたいの?


「だから・・・栗本咲人の事、教えてくれないか?」

「・・・!」


ガタガタと体が震えだした。

いや・・・。

今は咲人の事話せない・・・・!

景吾に知られたもの・・・っ!


「あ・・・いや・・・っ!」

ちゃん・・・・!」


ジロちゃんがぎゅっと抱きしめてくれる。

それでも震えは止まらない。


っ!俺たちがするのって・・・・こんなことじゃないでしょ!?」

「あぁ・・・わかってる。わかってるさっ!!」


ガンッ


は壁を思いっきり殴った。

その音に体がビクッと反応してまた震えだす。


・・・・。」

「あたし、焦ってたんだ。がボロボロだから。」


が・・・焦ってる・・・?

震えている手でそっとに触れた。


「何で・・が・・焦ってるの?」


別にが焦る必要はない。

ゆっくりと進めていけばいいのに。

期限は短くないから。


が泣いてるところをもう見たくないんだよ。」


・・・・。

でも・・話せないよ・・。

怖いの。

誰が咲人と関わっているかわからないから。


ちゃん、今は無理しなくてEよ。」

「ジロちゃ・・!」

「悪い、。無理させる気はないんだ。」

・・・。」


少しずつ・・・ほんの少しずつ・・・震えが止まってきた。

咲人のこと・・話さなくていい・・?

今、怖くない?

がポンッと私の頭に手を置く。


「ごめんな。怖い思いさせて。」


すごく優しい言葉。

そしてすごく優しい表情だった。


「・・・いつか。」

「ん?」

「いつか・・話すから。それまで待って?」


やジロちゃん、リョーマたちなら話せる気がする。

短期間だけど私を心から信じてくれる。

私の言葉を聞いてくれる。

受け止めてくれる。


「あぁ、待ってる。」

「無理しなくてEからね。」

「・・・うんっ!」


自然と笑えた。

いつの間にか震えは止まっている。

この2人には恐れなくていい。

わかってくれるから。


「・・・でもちゃん。ひとつ聞いていい?」

「何?」

「あとべと何を話してたの?」


思わず目を見開いた。

聞いてたんじゃないの・・・?

心配そうな顔をしてたから聞いてたと思ったのに。

落ち着いて、ひとつ呼吸をして口を開く。


「ただ咲人のことを話してただけ。」

「・・・大丈夫だった?」

「今は・・・・ね。」


あの時はまったくだったけど。

今は全然大丈夫。


バタン


!!」

「リョ・・・マ?」


息を切らしたリョーマが入ってきた。

そういえばここ、リョーマの家でもあったっけ・・・。


「何でここにいるってわかったの?」

「親父が倒れたが中に居る・・・って。」

「父さんか・・・。」

「私は大丈夫だから。」


はため息をつき、私は少し笑った。

もう・・・大丈夫。

リョーマはすごい心配そうな顔をしてる。

私はそっとリョーマの頬に触れてにっこり笑った。


「そんな心配そうな顔しないで。この前みたいに熱がでた訳じゃないわ。」

「また誰かに?」

「・・・まぁね。」


リョーマは誰に、とも何を、とも聞かなかった。

多分私が聞いてほしくないって言う顔をしているから。

実際聞いて欲しくないし。

だから小さく言うの。


「ありがとう。」


って。

聞こえない程度に。

でもにっこり笑って。


「何?」

「なんでもないわ。」









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