私は何のために動く?
そんなのわからない
でも・・・でも・・・!
信じるもの、その先に-33-
雨がやまなさそうということで今日の部活は終わった。
頭を冷やすために部室荒らしの件もなし。
「鍵はどこ?」
「俺が持ってる。」
「私が閉めるから頂戴?」
景吾に手を出す。
話すのは最低限のことだけ。
他愛もない話はできない。
景吾が怖いから。
「何をするつもりだ?」
「・・・ここでは言えないわ。」
チョタや若がいるから。
手伝う・・・なんて言わせないために。
1人で片付けてしまいたいから。
荒したのが私、と疑われているのならば。
それは違う、とわかってもらうために。
「また何かするんか?」
「・・・別にあなたたちの迷惑になることはしないわ。」
「俺が残ればいいだろうが。」
景吾は鍵をくれなかった。
そのかわりどっしりとソファに座る。
私が何かしたいかどうかの監視・・・か。
景吾は何もしないかな。
「・・・わかったわ。」
「あたしも残る。」
「・・・!?」
「と跡部を一緒には出来ないからな。」
「・・・ありがとう。」
「ということだ。ジローも日吉も鳳も帰りな。」
はわかっていた。
ここでは言えない理由を。
皆が部室を後にすると私は口を開いた。
「、何もしないでね?」
「わかってるよ。」
私は部室の片づけを始めた。
誰も何も喋らない静かな空間。
ただ物を片付ける音だけがなる。
「・・・おい。」
「何?」
私は片付ける手を休めず答える。
別に大切そうな話じゃないから。
「栗本咲人・・・知ってるな?」
「・・・えぇ。」
一瞬答えていいか迷った。
なんで咲人を知ってるの・・・・?
咲人はこの学校にいないのに・・・。
「そりゃ知ってるだろうな。栗本咲人、山吹中3年になっているはずの男。半年前、交通事故により死亡。旧姓は・・・。お前の生き別れの双子だろ?」
持っていたドリンクボトルを落とした。
何で・・・・。
何で知ってるの!?
誰にも言ったことないのに・・・・。
「中学入学するまでは一緒に住んでたそうじゃねぇか。」
「・・・・。」
私の・・・兄・・・。
それを知ったのは咲人と別れるとき。
誰にも言ってない・・・・隠してたのに・・・・。
「・・・!」
「・・・なんで・・・?」
「あん?」
「何で・・・知ってるの・・・・!?」
誰にも知られたくなかったのに。
私と咲人とパパとママの秘密なのに。
「俺様をなめんじゃねぇよ。んなもん少し深く調べりゃでてくる。」
「調べなくて・・・いいのに・・・・!」
その場に座り込んだ。
咲人は・・・!!
私を妹と知っているのにうらまなかった。
パパとママが2人もいらないって・・・咲人を栗本家に売った・・・!
それを知らずに私たちは出会って・・・一緒に育った。
パパとママはずっと外国にいたから・・・。
咲人は私をうらまずに愛してくれてた・・・!
「・・・・。」
「咲人・・・・!」
きっと私は涙を流している。
だけど自分じゃわからない。
ただ咲人に対する思いがあるだけ。
「お前は大分そいつの固執してるようだな。」
「咲人は・・・・。」
それ以上しゃべれなかった。
「、少し休め。それで落ち着け。」
の言葉を最後に私の意識は遠くに離れた。
咲人・・・・ごめんね。
約束、守れないかもしれない。
双子ってことがバレても私たちは私たち。
だからその人とはいつもと同じに接しよう。
この約束、守れそうにない。
だって私たちが知ってればそれでいいことだから・・・・!
景吾はそれを知った。
この学校じゃ誰にも知って欲しくなかった。
咲人のことは知っていてもいい。
でも私との関係だけは・・・・・。
咲人が死んだと知られて、責められることが怖いの。
何で守れなかったのか・・・って。
でも、咲人、聞いて。
私は咲人のこと、忘れた日はないよ。
咲人が死んじゃった日、私は信じられなかった。
今は受け止められるから大丈夫。
でもあの日のことは忘れられない。
忘れたくない。
あの日から私の気持ちは変わらないから。
大好きだよ、咲人。
だから私を見守っていて。
最後まで諦めないから。
絶対皆を救ってみせるから――――――!
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