私のため・・・?

必死になってくれるの・・・?

すごく・・・嬉しい。





信じるもの、その先に-25-





「ん・・・っ。」


温かい。

私・・・・雨の中屋上にいたよね?


っ!」

「・・・・・・ジロちゃん・・・。」

「大丈夫か?」

「蒼耶・・・・さん・・・っ!?」


思わず起き上がった。

そこで温かいものが布団だとわかる。

薬品のにおいがする。

蒼耶さんの病院・・・・か。


「急に起き上がったらあかん。危ないで?」

「私・・・屋上にいたよね?」

「あぁ。屋上で倒れてた。」

「雨の中どうしたの?美鈴ちゃん?」


素直に頷いた。

するとジロちゃんと、それから蒼耶さんの目つきがかわる。


「朝、呼び出された。それから話をして、鍵を閉められたの。」


強い私だった。

でも鍵の音がして私の強さは簡単に崩れた。

それから・・・咲人のことを考えてた。


「ありがとう・・・。私を探して、ここに運んでくれたのでしょう?」

?」

「違うの?もしかしてチョタと若だった?」


チョタと若。

今日、私を理解してくれた2人。

3年生よりも冷静で真実を受け止めてくれる人。

だけど3人は眉をひそめて聞いた。


「日吉・・・?」

「どういうことだ?」


そっか・・・。

話してなかったっけ。

ジロちゃんはチョタのとき側にいたけれど。

若のときは練習してたんだ。


「今日、チョタと若が私を理解してくれたの。」


チョタは前から迷っていた。

若は私に言ってなかった。

それだけど。

2人がそれを伝えてくれたのは今日。

だから理解してくれた、と言う。


「2人とも私にきちんと伝えてくれたわ。美鈴が信じられない、と。そして私のことが信じられるようになった、と。」

「へぇ・・・。3年より冷静じゃん。」

「そうね。そして・・・ちゃんと考えを持っているの。」


悪いと思うから謝る若。

しっかり覚悟を持っている。

そして信じる道を持っているチョタ。

信じる道を変えるっていう事は大変なこと。

だって信じるものが全てひっくり返るんだもの。

冷静にならなきゃできない。


「・・・それよりも、ここ暑いね。」


空気が暑いというより・・・体が熱い。


「当たり前や。自分、39度の熱があるんやで?」

「3・・・・9?」


だから熱いんだ。

雨で濡れて熱・・・か。

体が熱いだけで他は大丈夫だからまぁ、大丈夫でしょう。


「ケガも酷いし。ほんま、侑士たちはアホやな。」

「・・・見たんですね。」


制服に隠れた痕を。

赤い痕、青い痕。

私の体にはいろんな痕がある。

マネを始めたときから。

この仕事好きだから。

皆と笑えて好きだったのに・・・。

私は呟く。


「この痕には2つの意味があるの。」


意味・・・なのかな。

理由といった方がいいのかもしれない。

私が痕でいっぱいな理由。


「2つの意味?」

「どういうことだ?」

「もう消えかけているもののほとんどと新しいものに全て分けることが出来るのよ。」


が私刑を受ける前と受けた後に。


「消えかけてる方は・・・意地や誇り・・・。皆といっぱい笑ってたときの痕。
私はマネージャーという仕事に誇りを持ってる。も、ね。だから耐えれたの。皆と笑えたの。」

「もうひとつは?」

「救いたい、また皆で笑いたい・・・今の痕。皆を救いたいの。見えない闇から。痛いけど・・・辛いけど耐えなきゃいけないの。」


本当は痕なんて残したくない。

殴られたり蹴られたりしたくない。

でも皆を救いたいから必死に耐えるの。

辛さから逃げないの。


「自分を犠牲にしすぎだ。」

「そう・・・?」

「もっと自分を大切にしろ。」

「そうしたらみんな救えないもの。犠牲があるから救いもある、だから私は救いたいの。」

「自分を犠牲にしてでも?」

「そう。」


だって・・・盲目的なんだもん。

まだ皆救える。

彼らは・・・救う余地がある。

美鈴含めて、ね。

も救いたい。

私のことを思い出してほしい。


「何で、そこまでして救おうと思うの?」


何で・・・・。

だって皆、好きだもん。


「好きな人を・・・信じたい人を救いたいの。」


ただそれだけ。

3年間・・・・それ以上の人もいる。

その人たちを信じたいの。

少しの付き合いでころっと変わったその根源から。


「まだ信じるのか?に酷いことしたのに。」

「すぐに信じられなくなる程度の信頼じゃないから。」


救う・・・って決めたの。

だから自分を犠牲にするの。

皆の為なら・・・いいよ。




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