敵・・・?
そんなのわからないよ。
敵って誰?
信じるもの、その先に-23-
転校する前からを知っていた。
何度か練習試合で見ていたし先輩と一緒にいたもの。
いつも皆と笑っていてとても綺麗な人。
「乾先輩。」
「のことか?」
「はい。何か知っていますか?」
「今日ケガをしたのは知っているだろう?うわさでは・・・犯人はらしい。ま、信用性0.02%。あまりあてにはならないな。」
思わずクスリと笑みをこぼした。
この人たちは本当の私を知っている。
だから猫をかぶらなくてもいい。
「やっぱりそうでしたか。先輩を・・・・ケガさせたのは。」
最初から気に入らなかったの。
優しいから、可愛いから皆に気に入られていることが。
先輩へのケガを理由にできるわ。
いや・・・・自分で作る。
そして、氷帝から消させるの。
気に入らないから。
とても単純な理由だけど気に入らないもの。
私が気に入らないもの入らないの。
「藍川、そろそろ・・・・。」
「やめたほうがいい。そういいたいのですか?」
「わかっているのか。」
「えぇ。・・・ですが、気に入らない、許せないんですよ。」
「・・・データ通りだ。」
うなずいて私はその場を後にした。
私はもうこの制服を着ない。
転校は決まっていたことだから・・・。
少し早くなっても構わない。
そして・・・私は氷帝へ転校した。
「青学からやってきました、藍川美鈴と申します。」
「藍川・・・男テニのマネージャーだったか?」
「はい。こちらでも希望したいのですが・・・・。」
「わかった。伝えておこう・・・行ってよし!」
私はこうしてマネになった。
やがて私のシナリオどおりになる。
・・・・はずだった。
ジロー先輩が離れ、越前がの味方に付いた。
そのたびにシナリオを変えてきた。
「・・・私が負けるはずないじゃない。」
今日、鳳先輩と日吉先輩が向こうに着いた。
・・・いいわ。
私がに直接手を出しましょう。
『屋上に来てください 美鈴』
名を隠さずに下駄箱に入れる。
私は屋上へ行った。
「いい加減にしろよ・・・。」
ぽそりとつぶやくとガチャリと扉が開いた。
1人・・・・か。
誰かと来ると思ったんだけど。
「1人で来たんですね。」
「呼び出しに誰かをつれてくるほどバカじゃないわ。」
強い人。
思わずクスリと笑ってしまった。
本当は弱いのでしょ?
強がっているのでしょ?
あなたは弱い人。
私と違うのよ。
「いい加減やめてくれませんか?邪魔なんです。」
今は仕事を押し付けているけれど。
仕事くらい出来るわ。
青学でもしてたもの。
最初と最後だけだけどね。
あとはバカバカしくなってやめたわ。
「私がいなくなれば仕事をするのは誰?」
「私です。手が荒れるのはイヤですが仕事くらいできますよ。」
「絶対に誰かに押し付けない?」
・・・!
やめてくれるの?
「もちろんです。あなたが辞めるのならば。」
ニヤリと笑った。
辞めてくれたらこっちのもの。
途中で誰かを脅せばいいもの。
「そう・・・。でも辞めないわよ。」
「っ!?」
顔が一気にゆがむ。
何よ・・・。
辞めてよっ!
あんたが気に入らないのよ!
いらない人なの!
「私が今、マネを辞めたらあなたは喜ぶでしょう。」
「わかってるなら・・・っ!」
「だけどそれじゃいけないの。」
何で!?
何でいけないの!?
私はそれでいいのに・・・・!
「それじゃ誰も救えない。美鈴、貴女ですら。」
・・・・救う?
私を?
バッカじゃないの?
私は救いを求めてない。
誰を救ってほしいとかも思ってない。
「救いなんて・・・・誰も要りませんよ。」
最後に鼻で笑って踵を返した。
もう、いいわ。
始めましょう。
私は屋上から出て扉を閉める。
は遠くにいる。
「・・・・こうなるのよ。私に逆らうと。」
ガチャリ
この学校の屋上は校舎の中からしか鍵をかけられない。
そこで足掻くといいわ。
後悔なさい。
私に逆らったことを。
「クスッ・・・・・アハハ・・・・アハハハハハハハハハハッ!」
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