優しさとか、支えとか

そんなものが欲しいの

私は弱いから





信じるもの、その先に-19-





「立海の奴等、バカばっか。」

「仕方ないよ・・・。のことショックだったんだから。」


立海の皆は私の話を聞いてくれなかった。

全てが私の責任だと。

確かに私の責任だよ。

でも・・・私の話を聞いて欲しかった。

言い訳するわけじゃないから。

そして・・欲を言えば受け入れて欲しかった。


「青学はどうだろうね。」


受け入れてくれるかな・・・。

とりあえず、やるだけやるしかない。


「リョーマはバカじゃねぇ。受け入れるはず。」

「だといいけど・・・。」


青学は美鈴の元中。

彼女は同じ事をしてたのかな。

1年生にイジめられた・・・ってハメて。


「大丈夫だ。さっきみたいに強くいろ。」

「強く・・・・?・・・うんっ!」


大丈夫。

そう思っていればいい。


「・・・?」

「不二か。手塚かスミレちゃんいる?」

「・・手塚!」


恐れるな、恐れるな、恐れるな・・・・。

ずっと自分に言い聞かせる。

ここへ来た手塚さん。

震えないように声を出した。


「こんにちわ。私氷帝学園男子テニス部マネージャーをしております、です。」

「部長の手塚だ。」


一瞬だけ驚いた表情をする手塚さん。

やっぱ・・知ってるのね、彼らも。


「書類を預かってまいりました。どうぞ、確かにお渡しいたしました。」

「あぁ。」


これで帰れるわけじゃない。

きっと立海みたいにとめられる。


「・・・じゃん。どうしたの?」

「リョーマか。何、あたしがいちゃダメなわけ?」

「別に。そうだ、あんたたち知ってる?」

「何が?」

「藍川。」


体がびくっとした。

大丈夫、大丈夫・・・!

何もいえないままいると越前君はふっと笑った。


「やっぱりね。大丈夫、オレはあんたの味方。」

「え・・・?」

があんた側にいるってことはあんたは何もしてない。今反応したのはイジめられているから、でしょ?」

「越前君、それは私がイジめてる、とか思わないの?」

「藍川はイジめられるような奴じゃない。」


そっか・・・知ってるんだ。

越前君は美鈴が何をしたか。


「越前君は・・・。」

「リョーマ。そう呼んでよ。」

「リョーマは何があったかわかるのね、今も昔も。」

「知ってる、ここにいる皆が。」


皆が・・・?

手塚さんも、不二さんも・・・?

美鈴がここでしたことも・・・?

氷帝であったことも・・・?


、言ったとおりだろ?」

「うん・・・。」


何もいえない。

驚きと嬉しさで。


「藍川はここでも仕事をしていなかった。」

「俺たちはそれを知っていたのに何もできなかったにゃ・・。」

「そう・・。」


だから何?

何が言いたいの?


「だから今度は動きたいんだ。何もできなかった自分がいやなんだ。」

「・・・それは私への同情?哀れみ?」


ざっと風が吹き抜ける。

風は髪をなでて、沈黙をつくった。

同情も哀れみもいらない。

私はそんなものが欲しいわけじゃない。

私が欲しいのは・・・支えてくれるもの。


「同情で守るくらいならオレは何もしない。」


リョーマが口を開いた。

それに同調するようには笑った。


「リョーマらしいな。、リョーマは同情とかじゃ何もしねぇ奴だ。ジローと同じ、守りたい、支えたい。それだけだ。」

「そういうこと。」


ジロちゃんと・・・同じ?

支えてくれる・・。


「信じて・・・いい?」


ジロちゃんに聞いたのと同じ言葉。


「もちろん。」


リョーマはポンッと帽子を私にかぶせた。

支えてくれる人。

その人が増えるたび、私は一歩進める。


「俺たちもだ。」

「皆・・・?皆・・・信じていいの・・・?」


皆うなずく。

優しい笑みを浮かべて。

咲人・・・優しい人がいっぱいだね。

だけど受け入れない・・真実を知らない人もいる。

迷っている人もいる。

これも・・私の責任?


、帰るか。」

「・・・・待って、ひとつ聞きたいの。」


美鈴が始めて氷帝に来たとき。

貞治が言っていたという言葉。

その言葉から始まった今。

私はしっかりと彼を見つめて口を開く。









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