大丈夫
弱くてもいい
強がっておこう
信じるもの、その先に-17-
「失礼します、男子テニス部はこちらでしょうが?」
「そうじゃが、お前さんらは?」
「氷帝学園から参りました、と申します。顧問の方、もしくは部長の方はいらっしゃいますか?」
「ちょっと待っておれ。」
私は眼鏡をとったまま。
これは私の強さ。
一歩進んだという証。
「あいにく部長は休みだ。副部長の真田だ。」
「氷帝学園男子テニス部マネージャー、です。榊監督から書類を預かっております。」
「うむ、ご苦労。」
「それでは失礼し・・・」
「待て。」
「、君はを知っているね。」
やっぱり・・・来たか。
できるだけ冷静に。
そう思いながら頷いた。
「関わってんのか!?」
「ブン太君、落ち着きたまえ。」
「は入院しとる。」
「・・・知ってる。」
「マネージャーっしょ?アンタも先輩も。」
「えぇ・・・。」
「イジめられてたのは知っている。そしてが入院していることも。」
私だけの責任だというの?
確かに・・・私のせいではケガをした。
それが・・・私だけの責任?
「詳しいことはよく知りません。ですが、貴方の責任・・・ではないですか?」
「私・・・・の?」
「にもおめぇにもイジめられていることに非はない。だが、ケガをしたときは1人だった!」
ぐっと胸倉をつかまれる。
私を掴んでるのは・・・切原くん。
「それ・・・・は・・・私の責任・・・?」
「そうだろっ!あんたがいなかったら先輩はケガをしなかった!」
「記憶も失わなかっただろうな。」
は私のことだけを覚えていない。
立海の人の事は覚えている。
そこに・・・怒る理由はあるの?
切原くんは拳を振り上げた。
殴られる・・・!
ぎゅっと目を閉じた。
「てめぇ・・・!」
いつまでたっても痛みはこない。
聞こえたのはの声。
恐る恐る目を開けると、が拳を受け止めていた。
「ふざけんなっ!さっきから聞いてたらなぁ・・・っ!は悪くねぇっ!」
「・・・!?」
「がケガしたのには関係ねぇっ!」
はパシッと切原君の手を払いのけた。
「あんた、誰?」
「あたし・・・?あたしは越前。の友達。あたしはを信じてる。」
「ふーん。じゃ、あんたこいつに騙されてんじゃないの?」
「何だと?」
「・・・っ!」
私はおもわず口を挟んだ。
かける言葉はほとんどない。
だけど・・・今の私に言えるのは・・・。
「私はあの時何もできなかった。仕事で離れてそばにいられなかった。」
あそこにあった紙。
『 私は貴様を許さない』と書かれた紙。
捨てられなくて、まだ持ってる。
「そして・・・あの紙。」
「それは、許さない、と書かれた紙のことか?」
「うん・・・。あの紙は私への挑戦状。」
「それに、は巻込まれたんじゃねぇかっ!」
「私が・・何かした?私は誰かに何かした覚えはない。」
これ以上は・・・何もいえない。
何か言われても・・・反論できない。
「ですが、彼女が巻込まれたのもまた事実です。彼女は巻込まれたくて巻込まれたわけではないでしょう。」
私だって・・・・巻込まれたかったわけじゃない。
だけどそれは言えない。
悪化することはわかっているから。
何も言えずに黙っていた。
「だって同じだろ。巻込まれたかったわけじゃねぇ。」
「との立場は違うじゃろ。」
「・・・!」
もまた黙る。
そう、一番違うのは立場。
は関係ない。
私は当事者。
だから・・・責められるの?
私の責任なの?
「だけどを責めるのは間違ってるんじゃないの?」
そこに新しい声。
とても澄み切った声。
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