向かうは立海。
怖いけど・・・
行かなきゃいけない。





信じるもの、その先に-16-





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Date: 05/25 13:27
To:精市
Title:立海に

今から立海に行くね。
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精市へ送ったメール。

病院にいる精市に伝えても会えない。

わかっているのに送ったのは少しでも会いたいと思ったから。


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Date: 05/25 13:30
From:精市
Title:Re:立海に

わかった。
・・・皆知ってるよ、のこと。
大丈夫?

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「幸村は何て?」

「大丈夫かって。皆・・・知ってるって。」

「ふぅん。に味方はいたんだ。は独りなのに。」

「・・・きっと何か言われるね。」


耐えるか、

それとも何か返すか。

きっと今の私は何もいえない。

に縋るしかない。


「幸村は来んの?」

「さぁ・・・?」


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Date: 05/25 13:34
To:精市
Title:Re:Re:立海に

きっと・・・大丈夫。
だから心配しないで。
また連絡するから。

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Date: 05/25 13:36
From:精市
Title:Re:Re:Re:立海に

俺も行く。だから待ってて。

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「・・・来るって。」

「ふぅん。」


精市もも優しい人。

無理をしてまで着てくれる。

守るって言ってくれる。

こんなに弱い私を。


「一歩進まなきゃね。」

「あ?」

「なんでもない。」


少し笑う。

これは私の独り言。

決めたことなんだ。


「なぁ、。その眼鏡に度、入ってんの?」


首を横に振る。

この眼鏡は強い瞳を直接見ないため。

強くて揺らぎのない瞳をレンズ越しに見るため。


「とらねぇの?」

「私は・・・弱いから。」


から目を逸らす。

も強い人。

だから眼鏡をはずしてみることができない。


「本当に弱いのか?」

・・・?」

「2日間一緒にいるけど。『弱い』って壁つくってる。」


壁を・・・?

は私の眼鏡をとろうとする。

私はそれを手で防いだ。


「ダメ・・・っ!」

「壁つくって、弱いって言って、楽しいか?自分で自分を縛り付けて。」

「だけど・・・私は・・・!」

「そりゃ人間誰だって弱いときがある。あたしだってあるもん。」


弱い・・・・『とき』・・・?

じゃぁ人は皆強いの?


「人は強がる。弱いとわかっているのに強がっているでしょ・・・?」


それは美鈴の前の私。

長太郎に話をしていたときの私。

弱いとわかっているのにそのときは強いと思って強がる。

だから・・・私は弱い。


「わかってんじゃん。はそれが強がりだって。」

「わからない人もいるの・・・?」

「あいつとかそうだろ。強いって思ってる。」


強いって思ってる・・・だから?

だからあんなに強くいられるの?


は強い。大丈夫だから・・・外してくれ。」


の目を見る・・・?

恐れずに・・・。

眼鏡を少しずつ外す。

眼鏡を外すのは・・・咲人以来、か。

大丈夫・・恐れなくていい。

前に進もう。

一度目を閉じてまた開く。

の目を見るのにさえぎるものはない。

すっと見据える。

だけどすぐにフッと笑った。


「・・・一度とれば大丈夫みたい。」

「綺麗・・・。」

?」

「あんた、そっちのがいい。弱さを見せない強いでいたほうがいい。」

「私は・・・弱いよ?一歩進んだだけ。少し強くなっても・・・弱いまま。」

「・・まーだ言うか?」


ペシッと音がした。

それと同時に来るのは額の痛み。

に小突かれたんだ。


は強いよ。少なくとも、奴よりは。」

「美鈴も強いよ?」

「あれは強がりだろ。」


強さと強がりの違い。

私にはわからない。

だけど・・今は大丈夫。

そう思うことにしよう。

立海の皆に責められても大丈夫。

私は独りじゃない。

もいる。

精市もいる。

ジロちゃんもいる。

だから――――大丈夫。





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